DAY34

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Boadilla del Camino→Carrion de los Condes 26km

 朝はマリッシオに起こしてもらって5:45の出発だったが6:00に出発した。今日は星は出ておらず、風が強かったので長袖で過ごした。

bridge

 ほとんど喋りながら歩いているので内容も濃ゆくなり話題も四方八方に広がっていく。何になりたいかシリーズではアメリカンヒーロー、動物、海の生物、セレブリティ、政治家などのお題が出され、理由をつけて言わなければならない。そしてわかった、アメリカンとヨーロピアンには実に多くの共通認識があり、アメリカンヒーローにしてもお互いによく知っている。セレブリティなども全然知らず”えー、なんで知らないの?”と言われた。そして彼らは意気揚々に自分の意見をバシバシ言ってくる。自分はせいぜい形容詞が2つや3つ理由としてあがるだけだ。何だか恥ずかしかった。英語を教えていたということすら恥ずかしかった。しかし、それでは以前の自分のままだ、とそういう自分はいやだからできない自分も認めるんだと恥はかき捨て状態でなんでも聞いた。たまに笑われながらも彼らは丁寧に説明してくれる。

 それにしてもみんな英語がよくできる。スペイン人のキーケーだけは英語が全く話せないのでマリオやマリッシオが訳していた。常に9人みんなで話すわけではなく、ある一定の距離をくっついたり離れたり、たまには1人になりながら歩いた。そういう状態なので体力と頭をめちゃくちゃ使うのでお腹の減りが前より早くなったと感じていた。本当にヘトヘトになる。歩きながら必死で英語を聞き取り、考え、質問し、聞き、答え、と頭パンパン、ついでに足もパンパン。特にこの日は疲労がすごかった。でも楽しいことに違いはないので気持ちの良い疲労だ。

 基本的にルートや宿泊地はマリオをフライヤが決め、距離や難易度によって出発時間が行き方をアレンジしているようである。自分はそれについていくだけなのでとても楽をしている気分になるが、前半のご褒美だと思い、ありがたく従う。フライヤの時間と距離の管理はまさにアーミー並で、区切りの良いところで必ず”〜km left!!!”と大声で残りの距離を教えてくれる。

みんながバルで昼食をとっているとき。チップスを食べているのを隠し撮りされていた。笑
町と映っていて好きな写真。ありがとうマリッシオ。

 エレは膝を痛めているようでだんだんと距離がひらいていった。そのまま6人が先にアルベルゲに到着し、3人が遅れて到着した。

 2、3時間昼寝をした。もう一度言うと、この日は本当に疲れた。17:00頃に数人と遅めの昼食に出て、夜のシェア飯の材料を買いに行った。アルベルゲでは学生の集まりがあって、みんなでご飯を持ち寄って食べようという提案がシスターからあったので、自分たちのグループはパスタを提供しようと言うことになった。パスタを持っている人もいたのでそれを一緒に使おうと言っていると、エレがパスタの大きさや種類を確認し、バラバラの種類のパスタは茹で時間も異なるし一緒に混ぜるなんてありえないと言い出して、結局新しく買うことに。スーパーでは一番年下のしっかり者エレオノーラに従うことを全員が決めた瞬間だったように思う。
 ここのアルベルゲは教会併設でオスピタレロはシスターたちだった。夕食前に滞在しているみんなで集まってちょっとした話や歌を歌おうと言うことで受付の少し狭いところに40人くらいがびっしりと座っていた。シスターがギターをひき配られた歌詞カードを見ながら皆で歌ったりした。

シスターがギターと打楽器で演奏する。

二階への階段まで人がたくさん。

 5、6曲歌った後に、シスターが各国の歌が聞きたいと言って、挙手したイタリア人がギターを弾きながら歌った。そしたら1人のシスターが日本の歌が聞いて見たいと言い出してこちらをガン見している。えええええええええええ”!!!!!!!!!!!!!!!!



 これは神の試練か。


 どう見ても日本人は、と言うかアジア人も自分1人で、これは自分に向けてのリクエストだと瞬時に悟った。

まてまてまてまて。

 急に顔が赤くなるような気がした。歌えないと言うことは容易い。よし、歌ってやろう。歌っちゃえ。シャイな日本人の印象をぶち壊さなければ!勝手な使命感も働いてか、歌うと決めた。思いついた歌が最近歩いている時にiPodで聞いたBEGINの【島人ぬ宝】であった。その時いいなぁと思った曲はリピートして聞いていたので、何とか歌詞はわかるかも。不安だが誰もわかりはしないと勇気を振り絞った。
 

僕が生まれたこの島の空を
僕はどれくらい知ってるんだろう
輝く星も 流れる雲も
名前を聞かれてもわからない

でも誰より 誰よりも知っている
悲しい時も 嬉しい時も
何度も見上げていたこの空を

教科書に書いてある事だけじゃわからない
大切な物がきっとここにあるはずさ
それが島人ぬ宝

 終わると惜しみない拍手が送られ、友達はめっちゃハグしてくれて何だか恥ずかしくて照れ臭くて、多分顔真っ赤っかだったと思う。声も震えて、なんか民謡っぽくなり、歌詞も一番だか二番だか覚えていない。自分で作ったかもしれない。とにかく歌い終えた。やりきった。こんなに多くの人の前で歌ったのは初めてだった。そしてらシスターが”イーヤーサーサー?”と微笑んで聞いてきた。以前日本人から教えてもらったらしく、皆が沖縄のイーヤーサーサーを知った瞬間だった。
 友達は日本のポップを歌うかと思ったよーと言われた。知らない人からもその後に歌よかったよーとたくさん声をかけられた。7才くらいの女の子が寄ってきてあなたの声がとても好き〜と言ってくれて歌ってよかった〜と心から思えた。
 夕食後に皆でアイスをつつきながら話しており、何だかいつも笑われるんだけど、冗談言ったり笑わせるのも好きだけど、何だかおバカと思われているかもしれないとも思っていた。でも誰かを笑顔にできることがこの仲間との巡礼での自分の役割なのかなぁなんて思ったりもした。あんなクレイジーな荷物で誰よりも歩いている。でもいつも元気で辛い顔をしない人。そんな存在であることが誰かを勇気付けるかもしれないと思った。そしてその頃には他の巡礼者からもあの荷物の大きい日本人として周りに知れ渡っており、CRAZY SAKIとして名前が1人歩きしていた。
ん、、、ま、いっか。

 夜ご飯はちょっとしたパーティーのようでみんなで食べたあとは歌や踊りまで賑やかだった。ヨーグルトも配られており、夕食が終わった後にみんなに残っていたヨーグルトを5個くらい持って言ったら盗人扱いだった。クリスティーナは牧師の卵である学生くんに恋心を抱かれたことで罪人扱いされ、マリオはイタリア人の女性をその気にさせたと言うことで同罪として話や大盛り上がり出会った。なんでうちだけヨーグルトぬすっと。。。
 なんだかお笑い担当が定着しつつある。。。

 その夜は就寝3分後にイビキ怪物のマリッシオのイビキが始まりみんなで爆笑した。すると他の人のイビキも重なってきてみんなで指揮者のように腕を振りながら腹を抱えて笑った。おそらくマリッシオのイビキは今までで聞いたこともないくらい大きい。しかし、今まで気づかなかった。それくらい爆睡していたのだと思う。今考えるとマリッシオはいつも最後の方に寝ていたと思う。きっとイビキを気にして最後に寝たり、共有ルームで寝たりしていたかもしれないと思った。ミスタープレジデントはお疲れのようだ。ズゴぉぉぉぉぉぉぉぉ
彼もまた”Snoringマリッシオ”(イビキのマリッシオ)として皆に知られている。
隣の部屋でも聞こえるんだぜ。