DAY16

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Sarsamar cuello→Ena 25.2km

 昨夜はアルベルゲを使っていた若者達の騒ぎ声がうるさく、更に、夜中に倉庫に物を取りに来たりしてぐっすり眠れなかった。朝方は強い風の音も響いていたこともある。

肌寒くて長ズボン長袖がちょうど良かった。

 7:00に出発し、村の中の急な坂を上っていった。山に入ったら小動物の死骸がポツポツと連続して6体。。。いや、めちゃくちゃ怖いって。空は雲がかかっていて山の奥は真っ黒だった。向かい風できつい上りが30分続いたあとでゆるい上りが30分、どこまで上ぼるのーーー。遠くに見えていたCastillo de Marcuelloが視界の先にどーーーーーんっと現れた。

いきなり開けてこの景色!

 風による木々のざわめきはまるで川の水が勢いよく上流から下流へと流れるような音を鳴らし、崖側を歩くのが怖かったので内側を歩いた。強風でバランスを崩したら荷物の重さで崖から落ちかねないと思った。城が見えてから5分ほどで回り込むようにして入り口へたどり着いた。

 そしてその頃には遠くに黒い空から落ちる雷の光が見えていた。先を急いだ方がいいと判断したので城の近くには行かなかった。何だかやばそう。

 8:10頃には本格的な下りに入った。右側は山で左は壮大な景色が続く。

 8:35分頃には火山にあるようなゴロゴロとした石や岩が多く、雨が降っていたら大変だったなぁと今にも降り出しそうな空にもう少し待ってくれと祈る。更に5分程歩くと急な下りになり、大きな荷物によって体が前に推し進められていく。膝はかなりの負担がかかる。

この後パーカーで凌ぎきれない程雨が降ってきた。

 祈り虚しくポツポツと雨が降ってくる。この旅初の合羽の登場!雷が段々と近づいて来ていたので、自分に落ちるんじゃないかという心配でヒヤヒヤしながら気持ち頭をかがめて進む。

 9:40にはPardina de Escalateの遺跡が先に見え、巡礼路はその反対をいく。10分ほどで今から通る町が見えて来て、SANTA MARIA Y LA PENAの駅も見えた。

左へ迂回するためにすぐ眼下にある村から離れていくのが辛い。

 町から遠ざかるように下ったあとで改めて町の方向へ向かい50分ほどで駅にたどり着いた。

村が見えた安心感で少しテンションが高い。

 上から見て思っていたよりも時間がかかった。その間に雨は上がり青空が見え始めた。パン屋でチョコパンを買い、バルでカフェラテを飲みながらパンを食べた。

 20分程休憩して11:00にバルを出発。道路を25分くらい歩いた頃、右の岩山へと矢印がさしていたのでそちらへ向かった。

 灰色のコンクリートのような山で上っていくと貝の化石のようなものがたくさんありテンションが上った。

 再び火山のような足場を15分くらい上っていくと道が木の棒と針金で行き止まりのようになってあった。そこには
Por Favor Cierren La Puerta Ganado suelto Gracias.

まさかの行き止まり!!!?

 持っていた指差しスペイン語の本を引っ張り出して単語を調べてみるとCierrenに似た単語を見つけ「閉まる」という意味だとわかる。しかしその柵の1m先には黄色の矢印が続いているのだ。そして思った、以前は巡礼路だったけれども今は閉められてしまったのだと。結構しっかりした柵だったので絶対通ってはいけないのだと頭は解釈した。しかし、今更引き返すわけには行かないし、矢印を辿って来たのに今更引き返したところでどこへ進めというのかという思いが強かった。そして決めた。柵を越えよう。いや、これ越えられないな。。。荷物を先に転がし隙間をプロレス選手のように潜る。導線に引っかかる。。。この先が道崩れや崖崩れかもしれないという思いもあったので気をつけろ気をつけろとずっと頭の中で言い聞かせながら慎重に進んでいった。案の定黄色い矢印は出てくるので不安ではあったが進む。

 12:05頃壊れたレンガ作りの建物があり、5分後にも同じようなものが出てきた。更に30分くらい進んだところにもあった。ちょっっと怖かった。柵の意味と廃屋にようなレンガ、、、妄想は色々膨らみ不安だけが残る。12:20頃には柵が再び現れる。

 地図を確認してもここを通るしかなさそうだ。柵をくぐり込んで先に進む。先ほどの雨のせいか足場は悪いが、水を含んだ枯れ草の上はフワフワしていて歩くのが楽だった。1.2mほどの道幅に大きな水溜りがあったりして短い足を目一杯広げて水に浸からないように進む。13:00ようやくEnaの看板を発見。少し安堵するも今度は車の侵入を防ぐチェーンが。本当に不安しかなかったがとにかく林の中を進む。

 歩きやすい土の道から石の道に変わるころ村が見えて来て14:10に到着。隣の家のベルを鳴らしアルベルゲを案内してもらった。シャワーや洗濯を済ませ大事に持ち歩いていたインスタント焼きそばを頬張った。昼寝後の18:00くらいから村を散策。イタリアのアルベロベッロのような石造りの家が多く可愛らしい。

煙突も異国の雰囲気が出ていて良い感じ。

 教会は日曜日しか開かないとのことだった。そしてこの村は毎時間時刻の数字分だけ鐘がなる。静まりかえった夜の10時には10回程大きな鐘の音が響いた。それ以降は知らないけれども。。。1人でアルベルゲを使うことにも慣れ、一軒家に1人で泊まる寂しさにも慣れ、逆に心地よく感じていたりもした。村や町の人たちはとてもよくしてくれるし自分に興味も持ってくれる。食事や体調も気にかけてくれる。歩くときはひとりぼっちだけれども到着すれば1人ではないとわかっているので心強い。この日も足のマメを心配してくれて絆創膏とか持ってきてくれた。
 ちなみにスペイン語で書いてあった閉まっている疑惑の文章を訳してもらった。


 ”動物がいるのでドアは閉めておいてくださいね”


!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
あの時間のあの不安。なんだったの!しかもあの柵開いたんかい!思いこみとは怖いもので通っていはいけないと思えば開かないと思いこみ、それを試す事さえしなかった。でも通ってはいけないところを通ったかもしれないという罪悪感から解放された。ホッ 言葉を知らないって怖い。

とても綺麗で清掃も行き届いているアルベルゲ。