前置詞『範囲のin』と『点のat』

            <!-- wp:paragraph -->

 数回に分けて前置詞の具体的なイメージを捉えてきましたが、知れば知るほど今まで暗記してすんなりと吸収していたものに疑問が生まれてくることもあるでしょう。今日はそんな中からinとatの棲み分けを少しだけお話ししようと思います。

 幾何学原本(Stoikheia)の冒頭の定義にこんなことが書かれています。
『線分の両端は点である。』これはinとatを使い分けをはっきりと表していることとなります。


画像の上の線分をみてください。
 例えば左側から
●at the beginning in the middle at the end●
と置いて見てみましょう。
 beginning と endは両端の点と言えるのでatです。一方でmiddleという単語は二点の間にある領域・範囲を指すのでinになります。

 これと対象的とも言えるのが時間の直線になります。
画像の下の線分をみてください。
 例えば左側から
|||||in the past   |at the present|   in the future|||||
と置いて見てみましょう。
 過去は現在より前の時間の範囲をさしているのでinです。同様に、未来は現在より後の時間の範囲をさしているのでinです。そしてそれを分ける瞬間の点が現在ということになりますので、その点がatです。at the presentは現在は=現時ではという意味です。

 ただ、今という時間に幅を持たせて表現したい場合はin the presentということもできます。
例えば I like reading a story set in the present. (現代を舞台にした物語を読むのが好きです。)という風に、in the present=現在の、現代における と考えることもできます。