世界で差別と向き合う覚悟

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おやおや、というタイトルではありますが、これはとても大事なことのように思えたので、あえて記事にしようと思いました。

人種差別を受けた21才の冬

日本を離れるまで、実際に自分が差別を受けるまで、人種差別とは無関係だと思っていた私が差別を受けたのは21才の冬、バンクーバーに留学していた時のメトロの中での心ない一言でした。

それまで人種差別とは黒人と白人の問題としての意識が強く、あまり自分の人種というものを意識したことがありませんでした。しかし、自分が黄色人種にカテゴライズされること、また、それに対する差別用語も勉強していたので知っていました。ただ、なんとなく本の中の話というか、本当に自分と結びつけて考えていなかったんですね。

カナダのメトロで私はどこかに出かけていた時でした。夜でもなく、他の乗客もおり、私はメトロの長椅子に1人で座っていました。顔も覚えていないのですが、3〜4人くらいの私服の高校生くらい(?)が対面の長椅子に座っており、こちらを見ながらニヤニヤ何かを言っています。そして目があったあたりでとてもひどい言葉を小声だけども私に聞こえるくらいで投げつけました。

その時の私自身は「あ、マジか、言われるんだ。」という感情しかなく、怒りというよりも相手にしないでおこうと冷静でした。その後もニコニコしながら調子良く何かを言われていましたが、目を合わせずに仏頂ズラを通しました。

しかし、その後でだんだん、だんだんと、内からフツフツと湧き上がってきて、何も言い返せなかった自分への惨めさと、ショックがあとを引きました。唯一救いだったのは、あまり英語もわからない状況で、その言葉がはっきりと聞き取れ、差別への知識があったことでその用語を理解し、日本人の曖昧な対応をしなくてすんだことです。訳も分からず、差別用語を浴びせられたにも関わらず相手に合わせニコニコすることがなかったことだけは今となっても救いです。

そして降りる時にだけ、キッと睨んで終わりました。(でも自分はどういう顔をしていたのだろうか。キット睨んでいるつもりでもとても悲しい顔をしていたと思います)

あー、自分は人種差別の対象なんだと思い知り、ショックを受けたことは確かですが、歴史の中で苦しんできた人のほんの欠けら部分だけでも身を以て垣間見れたような気がしました。同時に自分は絶対にするもんかと。。。

人種の垣根を自分で作っていた世界一周の旅

世界旅行をしていると良く声をかけられます。日本人だからカモにされるんだなと疑うことも多く、結構緊張した面持ちで言葉を交わした人も数多くいました。

そんな中でも一番多かったのが、南米で『チーナ』(中国人のこと)と言われたり、ヨーロッパで『ニーハオ』と言われたことです。私はその度に自分は中国人じゃなくて日本人なんだよーと言っていました。『No』の言い方は今思い出しても相手に対して強いものでした。とにかく、日本人なんだと伝えルことが自分の中での優先事項になっていたのです。その真意には中国人なんかじゃないと強く訂正する自分がいたのです。

そして日本人とわかった瞬間の、相手の手の平の返しように満足し、日本ってすごいって言われることに満足感を覚えていました。そして彼らは決まって中国のことを悪く言って日本を持ち上げたのです。私はそれをその言葉のまま何も違和感なく受け止めていました。

何人であるかはあまり問題視しなくなったアフリカでの経験

そんな感じで旅を続けていたある日、あれは南アフリカケープタウンでの市場での出来事でした。伝統的なアフリカンのお土産屋を散策し、あるお店に入りました。彼らもまた、『ニーハオ』と挨拶してきました。私は今までと変わらず、中国人じゃないよ、日本人だよ〜と。そしたら相手が引かずに『ニーハオ、ニーハオ』と続けるのでした。なんだか必死になって、違うってば、日本人だよって必死になっていました。そしたら1人の彼が、「僕らには中国人も日本人もわかる訳ないさ、とても似ているんだもん」私は言い返します「いやー。服装とかさ、態度が違うじゃん、話し方とかもさ〜」すると思いがけない一言が、「じゃあ、君はナミビア人と南アフリカ人がわかるんだね。僕はもちろんわかるけど」「。。。。。」素直ではなかった私は話をはぐらかしてお土産を見て色々と違う会話を交わし、その店を出て行きました。

その日、私はそのことがズーーーーっと頭の中をグルグルしていました。今まで自分は何を必死になっていたんだろう。なんで中国とに日本の差を自分に見出してもらうことに満足していたのだろうととてもとても恥ずかしい気持ちになりました。そしてその日から私は変わったのです。

街やショッピングで「ニーハオ」と言われれば笑顔で「ニーハオ」と答えました。コミュニケーションのスタートにそこは関係ないと気づいたからです。気を良くした相手は少し話し始めると、会話の中で日本人だと知ると(流石に出身を上海とか北京とは偽るつもりはないので、そこは日本で答えます)そっかそっかーと日本の話題に飛んだりします。

結局彼らの中では、観光に来るアジア人は今までは全て中国人であり、彼らにとってはそれがコミュニケーションの第一声だっただけの話です。(中には軽蔑の意味を込めて言ってくる輩もいますが、そこは置いといて)そして私の中で「ニーハオ」という挨拶には「ニーハオ」や「hello」で答え、「チーナ」(中国人)と言われれば、これにも「ハロー」と答え、「シェシェ」と言われれば「シェシェ、ありがとう」と答える流れができていきました。

日本人であること以前に自分としての誇り

結局何人であるかはあまり問題ではなく、人としてのコミュニケーションが優位に立つということを学んでからは、勝手に嫌な思いをしていた出来事は全てポジティブに変わりました。気づかせてくれた南アフリカのお兄ちゃんに感謝です。それと同時に黒人は皆アフリカ人と見てしまっていた今までの自分も反省です。南アフリカには白人もたくさんいますし、黒人でも出身は色々です。初めて出会った人の出身を聞いたら、首都だけで返すのではなく、どんな国なのかを聞くようになりました。そしてどんな国でもその人自身を見るよう心がけるようになりました。

相変わらず、日本人とわかって手の平を返して中国の悪いところをいう人はいます。それに対して私はいつしか、自分の中国人の友達のいいところを話すようになっていました。私はこれからも同じような対応を続けていくつもりだし、もっと世界がそうなるべきだと思います。特に旅して回る人はそこを心得て回ると、もっともっといい旅ができる気がしています。

世界地図を持ち歩いて2周したけど、その時、これ欲しかったな。


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会話も弾む、きっと。


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